カラオケで高得点をゲットしたい、正しい音程で高音も気持ちよく歌いたい。そんなお悩みには、声の出し方をチェックし、ほんの少しコツを習得すればOK。
あなたの歌唱が確実に上達する、そんなボイストレーニング方法を3つご紹介しましょう。
1.お手本は犬の遠吠え、フクロウの鳴き声
犬の遠吠えがお手本?いきなりおかしなことを言うなあと思った方もいるでしょう。
犬が遠吠えするのは「遠くにいる仲間に何かを伝えるために発している」という理由もありますが、「そもそも楽しいから」「ストレス発散」という理由があるようです。
人間が歌うとすっきりするのと同じ、犬も声を出して遊んでいるんでしょうね。
そもそも歌うことは、楽しくて気持ちの良い行為なのです。そんな遠吠えしている犬を見てみてください。首をうーんと伸ばし、どこにも力が入っていない感じがしますよね。気持ち良さそうです。
とりあえず、犬になったつもりでちょっと真似してみてください。その場合、犬のように顎を上げてはいけませんよ。むしろ下顎は引いて胸に近いところが定位置。ただし固めないように。首の後ろが伸びている感じです。
口は半開きにし、軽く「オ」の形。飲み物も口の横からこぼれてしまうぐらいだらーんとし、それ以上開けません。ワォーン。いきなり高い声でなく、まずは自分の出しやすいキーから始めて徐々に上げていきます。
コツは最初から裏声にすること。大きな声はいりません。誰もいない体育館の檀上に立って、向こうの隅に向かって歌う自分をイメージしましょう。
さあ、その声はきれいに出ますか?
わわわとなったり、オオオンと引っかかったりブルブル震えたりしてませんか?
それはのどや胸に余計な力が入っているからです。腕はぶらんと下がっていますか? 腕の重みで両肩はやや外に広がり、胸が広がります。
背筋は伸ばしますが背中をそらせないようにしましょう。肩の上に頭が乗っているイメージです。脚は肩幅以上には広げません。
つまり、どこにも負担のかからない姿勢が大事なのです。どこにも負担なく遠吠えできたら、犬と一緒できっと気持ち良いはず。
これぞ、いい声で歌う第一歩です。
では、次にフクロウの鳴き声を真似してみましょう。ホーホー。要領は犬のときと同じです。口の形もそのままですが、鍾乳洞みたいに口の中を広く感じてみてください。口から声を出しているのではなく、いろんなところから響きがもれてくるようなイメージです。
これも、体がリラックスしていれば、気持ち良いほど響くはずです。
私たちは、「歌う」というとどうしても構えてしまい、ただただ大きな声で歌うのがいいと思ってしまいますが、力めば力むほど響きはなくなり、せっかく高性能化しているカラオケのマイクをもってしても、良い声になりません。
のどであれこれコントロールしようとすると音程はますます不安定になります。のどはあくまでも通過点。音というのは空気の波動です。
カラダをリラックスさせ、まずは自然な声と自然な響きを生むような歌い方を心がけましょう。そうすれば、自分でも驚くほど魅力的な声になります。
2.唇や舌もストレッチ。カラダの前に球体を抱えてみましょう
声を楽に出すイメージができたら、今度は自分の声をコントロールする練習をしましょう。
そのためには、唇や舌が柔軟でなければいけません。カラダをほぐすためにストレッチするように、口の周りもストレッチします。
簡単なのは子どものころに遊びでよくやった、唇を閉じてブルブルと空気を鳴らす運動。これを「リップロール」といいます。
まずは適当な音程で4拍伸ばしてみます。それがうまくできたら「ドレミファ」とキーを上げながらブルブルさせます。高いドまでいったら低いドまで降りてきます。声が出る人はどんどん高い音に挑戦してください。
次は舌。「タングトリル」といいますが、巻き舌で「ルルル」といいながら同じように「ドレミファ」とオクターブを歌ってみてください。
巻き舌はもともと苦手な方もいると思いますが、こういうエクササイズをしてみて、うまくできない人は身体(特に上半身)に余分な力が入っていると考えられます。
良い声で歌うために一番大事なことは、「いかにカラダが脱力できているか」に尽きます。そのためにも舌の柔軟性はとても重要です。
ただ、誰にもスムーズに出ない音域があります。歌っていて急に声が裏返ったりする場所を換声点(ブレイクポイント)というのですが、先ほど言ったように常に裏声で歌うことで地声と裏声(ファルセット)がうまく混じり合ったミックスボイスが出るようになります。
ミックスボイスが上手になると、ブレイクポイントも気にならず、上から下まで同じ響きで声をコントロールできるようになります。一朝一夕にはいきませんが、失敗を恐れずに毎日少しずつトレーニングしていきましょう。
そして、そういう時にイメージしてほしいのが、両手で胸の前に大きな球体を抱えているあなた。球体は空気のエネルギーを表します。
歌う前にいきなり「はぁー」と口から息を吸ったりしていませんか?歌う前には息を吸いません。
普段、おしゃべりしているときを思い出してください。いちいち息を吸っていますか?当たり前なように声を出していますよね。それと同じです。
息はすでにカラダの中にあるのです。そこから歌い始めます。たっぷりと息を吐くと球体は大きくなります。そのイメージです。
息が徐々になくなってきたら、ふっとカラダを緩めます。それだけで息は鼻から自然に入り、またカラダに取り込まれます。
息がなくなることを恐れて吸うことに一生懸命になりすぎると、それだけで余分な力が入り、うまく吐けずにすぐ苦しくなり、また吸ってしまうという悪循環に陥ります。
歌う時の息を一般に「ブレス」といいますが、歌は究極、どれだけ上手にブレスができるかによるとも言われるくらいなのです。
3.口の形を変えずにアイウエオ。いつも美しく歌うために
幼稚園のこどもたちが歌っている姿を思い出してください。
「さいたぁー、さいたぁー、チューリップのはながぁー」。あどけない姿は子どもらしくて可愛いのですが、その原体験が大人になっても足を引っ張っているようです。
つまり、歌うときに口を大きく開けすぎていないでしょうか?
歌うとき、自分の口がどんなふうになっているかを鏡でチェックしてみましょう。まず、いつものように「あいうえお」と言ってみてください。
母音によって口が大きくなったり、横に広がったりしていませんか?特に下顎だけをパクパクさせるといい声になりませんし、音程も安定しません。
よく「声があばれる」と言いますが、声量はあっても音程がぶれて歌詞の母音によって変なところに力がかかってしまうような歌い方は、本人には気持ち良くても聴き手にはただの雑音になりかねません。しっとりとしたバラードの曲の魅力も半減です。
ちょうどいい口の開きは、ワインのコルク栓を口にくわえたぐらい。意外に小さいのです。では、コルクを軽くくわえた状態で「あいうえお」と言ってみてください。
コルクがなければ、ペットボトルの飲み口でも代用できます。口の大きさや幅をほとんど変えなくても「あいうえお」って言えますよね。その大きさがベストだといわれています。日ごろ自分がいかに口をパクパクさせていたかに気づくはずです。
もちろん音楽が盛り上がり、よりダイナミックに歌いたいときもありますよね。そういう時は下顎を下げるのではなく、上顎を垂直に上げるイメージで縦に口の奥を広げます。横に広げると声が押しつぶされてしまい、発音も明瞭になりません。
母音によって歌いにくいなあ、高音が出にくいなあと思うときは、口の開け方が原因していると思われます。「母音唱」と言い、母音だけで歌う練習方法を試してみてください。
たとえば小学唱歌の『春の小川』。「春の小川はさらさらいくよ」なら「ああうおおあああああああいうお」とコルクを軽くくわえながら歌うのです。
のどの奥もパカっと開いて、いつもより高い音もスムーズに出ることに気づくでしょう。その後、口の開きを意識しながら歌詞で歌うとぐんと歌いやすくなるはずです。
まとめ
ボイストレーニングに興味があるのは、歌う時にうまくいかない悩みを抱えているからですよね。
世の中には天才的に上手な歌い方を体得できている方もいると思いますが、実はそんな人は一握り。どんなにプロの歌手でもそれなりに悩みがあるようですし、間違った発声でのどを酷使していると、声はどんどん衰えていきます。
だからこそ、日々良い発声をキープし、いつまでも元気に歌えるようにボイストレーニングで訓練を重ねています。それぐらい奥の深いお話なのです。
たとえ趣味でも、今より楽に歌えるトレーニングを無理なく続けることで、何歳になってもいくらでも歌は上達するといいます。
さあ、あなたも楽しくチャレンジしてみませんか。