今回は、オペラのファルセット(裏声)の歌い方を習得したい人に分かりやすく解説します。いろいろな方法がありますが、一般的にしているものをこれからご紹介します。
裏声の練習で役立つ練習法
●遠吠え
犬や狼になった気分で遠吠えをしてみてください。いつも生徒さんのレッスンで声楽を始めたばかりの人には、遠吠えをしてみるように言うのですが、恥ずかしがって真剣にしてくれません。
でもこの遠吠えが一番裏声が出やすくて、しかも響きやすくイメージがしやすいのです。
「あうーーーーーーーーーーーー」という感じですが、伸ばすときにしっかり口の形を「ウ」にして、息を前に前に送るようにします。
声は、笛と同じように息がとても大切です。できるだけ長く伸ばすようにしましょう。その時に声が震えたりする人は、よく言う「支え」が不安定だからです。「支え」の話は後でしますね。
●爆弾が落ちる時の音
よく子供の時に爆弾が落ちる時の擬音や、花火が上がる時の擬音に「ヒューーーー」と言いませんでしたか?
その擬音を使うこともとても効果的です。
「ヒュー」と言いながら、裏声の限界に近い高い音程から、低い音までをゆっくりと音程を変えます。
高い音程から低い音への「ヒュー」が終わったら今度は反対で、低い音から高い音への「ヒュー」を練習します。これで高い音から低い音、低い音から高い音の声帯や筋肉の使い方を滑らかにし鍛えていきます。
ここまでが裏声の基礎練習でした。
次の練習は、鼻腔を響かす練習です。普段話している時に鼻腔を感じることはあまりありませんが、声楽を歌う時は、口からの響きに鼻腔を足してあげることで声が頭蓋骨に響き大きくなります。
とても大切なトレーニングです。ここでまた犬になります。
鼻腔の位置を感じ、響かす練習法
●子犬の鳴き声
子犬や犬が「クンクン」とか、「フーーン」と言っている時のイメージを持ってみてください。これこそが鼻腔を響かすのに良い練習法です。
口を軽く閉じて、鼻で高い音で「クンクン」とか、「フーーン」と言ってみてください。「クン、クン、クン、クン、クン」と短く5回続けて言います。
はじめは心地いい音程で、次は、少し前より高い音程、もう少し高い音程と音の高さを変えます。そのあとに「フーーーーーン」と長く言ってみます。長さは、4秒くらいです。これも先ほどと同じように音程を上げていきます。
ただ、無理に辛く感じる高さまですることはありません。この子犬の鳴き声ですが、鼻腔だけの音ですし、そんなに大きな音量ではないので、現役のオペラ歌手はコンサート前に舞台袖や楽屋でしています。
舞台裏では、子犬でいっぱいです。また、コンサートの日の目覚めた時は、オペラ歌手にとっては、声の調子がいいかどうかヒヤヒヤする瞬間でもあります。
起き上がる前に「クンクン」と言って、調子を見ます。扁桃腺が腫れたり、喉が調子悪いと言えなくなります。
●ハミング
声楽を練習していたらコンコーネをされる方が多いと思いますが、コンコーネをハミングで歌ったりすることで鼻腔の響きを鍛えることができます。
口を閉じてハミング、口を開けてハミングの二通りをします。
裏声の練習に役立つのは、漫画に出てくる典型的なお金持ちマダムの話し方を想像してみてください。
では、このセリフをお金持ちマダムになった気持ちで、声を出して言ってみてください。
「あら〜〜。奥様今日もお美しいわねぇ〜〜。おーーほほほほ」
まとめ
いかがでしたか?裏声は出ましたか?この声こそがオペラの声だったのです。
私がオペラを習い始めた時に、「お金持ちマダムの話し方がオペラの歌い方」と言ってくれたらもっとわかりやすかったのに、と思います。
どこが響いているのか、口の中がどうなっているのか、残念ながら見ることも歌いながら触ることもできないので、感覚で覚えていきます。
ピアノの練習は弾く手が見えるので注意もされやすく、間違いが見えるのですが、声楽は体の中の筋肉のことなので見えません。
しっかりとレッスンの時に先生に良い声だと褒められた瞬間の身体や顔、口の中がどうなっているのかを確認し、インプットしていくことが上達する方法です。