裏声のイメージは分かるけれど、実際に歌うとなると裏声がでない方や、裏声そのものがよく分からない方がたくさんいます。
そんな人のために裏声をイメージしやすく、裏声を意識的に出すようにできるトレーニング方法をお伝えします。
1.裏声と地声の切り替えがどこかを見つけてみよう
ピアノがあれば、まず地声で歌いやすい音域から半音ずつ鍵盤を弾きながら発声していきます。
半音ずつ音程をあげていくと、あるところで地声で出すことができない音に出会います。その音が、今の現時点での地声から裏声への切り替え点です。
トレーニングをしていくと、この地声から裏声にかわる点(チェンジとよく言います)も変わります。
まず初めの段階では、どこから裏声に切り替えなければいけないのか、意識を持つようにしましょう。
ピアノがない人は、最近はスマートフォンでピアノの音が出せるアプリがありますので、ダウンロードしておくと便利です。
2.裏声にシフトしてみよう
地声がしんどく感じた音からさらに音程をあげるとき、地声とは違うけど細く高い声をだせましたか?この声が裏声です。
初めは細い声かもしれませんが、鍛えることによって裏声は透き通り、まるでフルートの様なきれいな声になっていきます。
オペラ歌手は高くて力強い声を出しますが、オペラ歌手の歌声はすべて裏声です。
では、どのように鍛えたら透明感が出て、声のボリュームがでるのかをお伝えしていきます。
3.ヒントはあくび
まず口を大きく開けて、あくびをしてみようと頑張ってみてください。その口の中の様子を鏡で見たり、感覚を覚えるようにします。
まず感じてほしい感覚は、口の中の軟口蓋(なんこうがい)といわれる部分が上がっていることです。
上の歯を後ろから舌でなぞっていくと、でこぼこした部分から柔らかい弾力のある部分に変わると思います。
この柔らかい部分が軟口蓋で、裏声を作るのに大きな役割を果たします。意識をしてこの部分を上げることはとても難しいのですが、実はあくびをしながら「あぁぁ~」と声を出している時に無意識のうちに上がっているのです。
あくびをしようとしながら、「あぁぁぁ」とか「ふわぁぁ」とできるだけ大きな声で言ってみてください。この声こそが、裏声のきれいな出し方なんです。
あとはその感覚を覚えて、音程や言葉をつけれるようにトレーニングをしていきます。初めは言葉をつけないで、「あ」か「お」の母音で発声します。
なぜなら、日本語の「い」「う」「え」は、口の中が狭くなりがちだからです。言葉をつけての裏声の発声は、慣れてから行います。
いかがですか?少し裏声が意識的にできそうになってきましたか?
まとめ
歌を歌う時は、身体の隅々を器用に使うことが上達の近道です。
息を吸うことや吐くこと、あくびをすることなど、日常で無意識にしていることを敏感に感じ取ります。そして、意識的にその状態を再現しながら調節したり、これらのことを同時にすることで相乗効果となり、より声を安定して出すことができるようになります。
いつでもあくびができるようにトレーニングすることが、裏声の処方箋です。声が安定してきたら、「あいうえお」すべての母音でできるようにゆっくりと調整していきます。
また、この調整の仕方にも工夫が必要です。なぜなら、日常で会話をしている時と歌う時は、それぞれ少し口の中の形が変わるからです。このことに関しては、また機会があれば詳しくお話します。