高い声を出すことは大変ですよね。あなたは、高い声を出す時に声を張り上げてはいませんか?
声を張り上げてしまうと喉が疲れてしまい、どんどん高い音を出すことができなくなってきます。では、どうしたら良いのでしょうか?
「高い音が出ない」と相談を受けると、某音楽大学の大御所の声楽の先生をいつも思い出します。その先生の教え方があまりにも斬新でした。
学生の頃、私も同じ様な悩みを持ち、その大御所先生に「どの様にすれば高い音が出ますか?」と尋ねました。
そうしたら、先生は「ポーンとしたら出るわよ」と言いました。
私は「ポーンって何?」と心の中で思いましたが、それが意外と良い結果をもたらしたのです。では、この「ポーン」についてお話ししながら、高い声を出す方法をお伝えしてきます。
1.高い音は、「ポーン」と遠くに飛ばすイメージ
高い音の時、頑張ろうとしてしまいますよね。しかし、あまりにも頑張ろうとしてしまうと、声が喉で引っかかる様な感じになり、結局出なくなるのです。
感覚的な話しになりますが、前方に「声」というボールを投げる様なイメージを持って声を出します。すると、声が喉で引っかからず、苦労もなしに高い音を出すことができます。
2.投げるイメージがわからない人へ
声を遠くに投げるイメージがわからない人は、実際に遠くを見て「ポーン」と言ってみます。この時に大切なのは、「ポーン」の時の「ポ」でしっかりと、口から息が弾ける様に勢いよく出す事です。そして、遠くに音を飛ばそうとすることも大切です。
窓の外や部屋の中に、何か的を決めてそれに向かって発声します。すると声に方向ができて飛びやすくなります。
3.楽譜にとらわれない
よく生徒さんの中に、ピアノと合わせて発声練習をしている時、例えば「ラ」まで出ているのに、歌になると急に「ラ」が出なくなったりします。これにはいくつかの問題が隠れています。
①いつも歌えないから、その部分にダメなイメージがある。
②五線譜上音符が上にあって、視覚で高いと感じている。
③歌詞がついていて苦手な母音である。
①の場合、レッスンの時なら、もう一度発声をしてその音が出る音域である事を確認してもらいます。すると、何もしなくても出る方がいます。
②の場合、①と同じ事をします。例えば、♭ラを♯ソと考えると出やすくなったりします。または、音程を半音あげて歌ったりすると出やすくなる事もあります。
高いと感じている音のところは、半音あげると辛くなりますが、一度歌いきって原調に戻ると簡単に歌える様になる事があります。
③の場合、一度ヴォカリーズで歌うことをお勧めします。ヴォカリーズとは、「ア」や「オ」で歌詞をつけずに歌うことです。苦手な部分をヴォカリーズで歌うと「ア」だったら歌いやすいとか、「ウ」なら高い音が出るなど、人によっていろいろな方法が見つかります。
最終的に歌詞を入れるのですが、あまりはっきりと母音を言わず、得意な母音と本来の母音の間くらいで発音します。
まとめ
「高い音が出ない」という事で悩む必要はありません。前向きな気持ちや、声をポーンと前方に投げるようなイメージを持ち、その時にしっかりと支えを下に引っ張ること(以前、支えについて話しています)が大切です。
そして、笑った顔にする事、ダメなイメージをなくす事、母音を変えてみる事など、たいていの問題はこれらを行うと解決できます。是非、チャレンジしてみてください