難易度の高いピアノの曲は、高度な技術だけでなく、作品を理解して、それを表現することが必要になってきます。
難易度の高い曲としては、ショパン、リスト、ドビュッシー、ラフマニノフなど、多くの作曲家の練習曲があります。
練習曲としての役割をもちながらも、きれいな旋律が組み込んであり、単なる指の運動や技術の習得だけでなく、周りに聴かせる音楽の要素を含んでいます。
ここでは、ショパンのエチュード3曲を紹介していきます。
1.ショパンエチュードOp.10-1
ショパン練習曲作品10の1ハ長調は、アルペッジョの練習曲です。「滝」や「階段」の愛称でよばれることもあります。
右手のアルペッジョ(分散和音)の範囲が4オクターブと広く、常にポジション移動しなければ弾けません。
この曲の難しさは、音域の広い分散和音を明確に鳴らすことにあり、柔軟性と筋力が必要です。
右手は指の長さにより苦労する度合いが変わってきますが、薬指と小指を十分に広げ、柔軟な手首の使い方をすることが求められます。指の通り道と腕の使い方に気をつけて練習することも大切です。
左手のオクターブで奏でる旋律が重要であり、その上に右手の分散和音がコラールのように演奏されます。
演奏者はそれぞれのハーモニーを理解したうえで演奏する必要があります。
右手の音を外さず分散和音を弾くこと、旋律を生かして聞かせる曲として演奏することを注意しながら練習するだけでも、かなり難易度の高い練習曲となっています。
2.ショパンエチュード Op.25-6
ショパン練習曲作品25の6嬰ト短調は、右手の半音階3度重音の練習曲です。
「Double Third(3度重音)」とよばれることもあります。16分音符の3度和音のトリルの指の動きは、とても難しくなっています。半音階の上昇は、親指と人差し指を巧みに動かして、音をとっていく必要があります。
半音階下降は上昇に比べて弾きやすくなっていますが、全音階の下降も含まれており、こちらは手の横の移動が求められます。この繰り返し部分は、かなりの練習が必要です。
同じ曲でも、楽譜によって少し指使いが違うので、はじめはゆっくりと確認しながら、弾きやすい方法で練習し、徐々にスピードアップしていくと速く弾くことができます。
左手は、幅広い分散和音の伴奏と低音旋律となっています。音を美しく、ニュアンスをもって弾くことが求められる難易度の高い曲です。
3.ショパンエチュード Op.25-11
ショパン練習曲作品25の11イ短調は、右手の迅速で華麗な器用さ、技巧、持久力を鍛える練習曲です。「木枯らし」の愛称でよばれることもあります。
前半の4小節は、右手だけの単音で構成されていて、ゆっくりと主旋律で問いかけるような前奏で始まっています。
5小節以降から左手が受け継いでいき、荒々しく流れ落ちる16分音符の6連符と左手で構成されています。そのままハ長調に移行し、最後は主題の提示で終わります。
和音構成音と半音下降を巧みに組み合わさっていますが、メロディーは、オペラのように歌い演奏します。
全く同じフレーズの繰り返しが少なく、指使いをしっかり覚える練習が必要です。
曲の中間部分では、右手と同じ速さを左手に交代する部分もあり、かなり練習しないとスムーズに弾けません。アニメでも使用されています。
まとめ
ピアノの難易度の高い曲は、練習量がかなり必要になります。
ショパンの練習曲は、他の練習曲のように終わりの番号の曲が難しいわけではなく、最初の番号でも、とても難易度が高かったりするので、ハノンやツェルニーでしっかり指の動きや速さの練習をしてから弾くことが大切です。
指の長さや手の柔軟さも曲を左右するので、指の動きを一つ一つ確認しながら、はじめはゆっくりと練習して、徐々に速さを求めていくとスムーズに練習できます。