ピアノは、1オクターブが黒鍵5、白鍵8の鍵盤で成り立っており、通常のピアノは、グランドピアノ、アップライトピアノに関わらず、鍵盤数は黒鍵36、白鍵52の合計88鍵です。
49、54鍵しかなかったピアノは、より広い音域を求める作曲家やピアノ職人により、次第に音域を拡大していき、1890年代には現在の88鍵、7オクターブ1/4となりました。
なぜ、この鍵盤数で定着したのか、鍵盤数と役割についてまとめてみました。
1.ピアノの鍵盤の音とは
現在の西洋音楽を基本とする音は12種類に分けられます。
ド、ド#、レ、レ#、ミ、ファ、ファ#、ソ、ソ#、ラ、ラ#、シの12音です。
#の記号がついている音は、隣の音と半音違うことを示しています。音の高さは、一秒間にどれだけ空気を振動するかを表す数値、つまり音の波の回数(周波数)で決まります。
鍵盤を押すとハンマーが弦を打ち、ハンマーに打たれておこる弦の振動は、響板やピアノ内部を振動させます。その振動が耳に届き、音として伝わっていきます。
周波数の数値が低いと音は低く、高いと音は高くなります。この周波数をHz(ヘルツ)という単位で表し、人は、20Hz~20,000Hzの間の周波数を聞くことができます。
ただし、音程として聴き分けることができるのは、せいぜい4,000Hzぐらいまでで、20Hzより下は低い、4,000Hzより高い音は雑音となってしまいます。
ピアノの一番左側の鍵盤は「ラ」ですが、周波数になおすと27.5Hz、一番右側の鍵盤「ド」の周波数は4,186Hzとなります。音は1オクターブあがるごとに2倍の周波数となります。
2.ピアノの鍵盤の役割とは
鍵盤は、バランスピンを支点として、上下10mm動くようになっています。鍵盤を押し下げると、奥にあるキャプスタンと呼ばれる部品が上がります。キャプスタンがあがると、ジャック、レピティションレバーと呼ばれる部品等で構成された部分が押し上げられます。
すると、上部にあるハンマーが弦を打ち、そのスピードにより、音色が変わります。弦の近くにあるダンパーと呼ばれる部分は、弦の振動を止める部品です。
鍵盤を半分以上押し下げた状態でダンパーレバークッションフェルトがダンパーレバーを持ち上げ始め、ダンパーレバーが弦から離れることによって振動することができるのです。
つまり、鍵盤とは、押し下げることにより、ピアノ内部にある弦を振動させる役割をしています。
3.どの鍵盤数がいいのか
ピアノには、一般的なアップライトやグランドピアノ以外にも、電子ピアノもあります。
上記1、2については弦を振動させて音を出すピアノについてでしたが、電子ピアノの場合は、打鍵をセンサーが感知し、電子音源を発音させスピーカーを使って音を出しています。どちらのタイプのピアノでも、88鍵が主に販売されています。
1700年ごろ、初めてピアノが発明されたときは、49鍵しかありませんでした。バスからソプラノまでの人の声の音域をカバーしていたそうです。より広い音域を求める作曲家の希望で、19世紀末には現在の88鍵スタイルになりました。
一部、低音音域を広げた機種が海外で製造されましたが、主になる音楽をひきたたせる効果として使われているようです。
この88鍵の音域は、オーケストラのすべての楽器の音域をカバーしており、バレエの練習でもピアノが使われています。
まとめ
ピアノは、主に鍵盤が弦をたたき振動させることによって音を出す楽器です。この振動が人の耳に入り、心地よい音色となるには、現在の88鍵の鍵盤が最適です。
鍵盤のたたく強さ、速さによって伝わる音色は違ってきますが、年に一度は調律し音を安定させることによって、楽譜にかかれた音楽を再現することができます。
低い音は、高い音で作られたメロディー部分をひきたたせる役割もあり、音の調和によって聴く人の心も和みます。
電子ピアノは、また音の信号が違いますが、弦の振動で奏でるピアノに合わした曲を練習するならば、88鍵が理想です。