ピアノの上達には、いろいろな過程があります。レベルによって仕上がりの理想の形が変わります。一つの曲をしっかりと仕上げ、仕上がりのレベルを一歩ずつ前進させていくことが、上達につながります。
まず、「こだわりを持つ」という気持ちを忘れないようにしてくださいね。
今回は、ピアノの上達に欠かせないことをお伝えします。
1.楽譜を一通り見たらもっと詳しく見てみよう
強弱記号や、テンポの記号、またdolce(ドルチェ)・cantabile(カンタービレ)などの表現の記号。これらは、落とすことなくしっかり見れているか確かめてください。
これらの記号は、曲を仕上げていくためのヒントになります。すべて見れるようになったら、もっと音色に耳を澄ましてこだわってみましょう。
高い音のドルチェは、いつも以上に細心の注意が必要です。また、低音は深みを持たせることで曲全体の幅を広げてくれます。
これらのヒントを頼りに、弾く人の好みや、気持ちを入れてより曲を豊かにしていきます。
2.楽譜を立体的に感じる?!
楽譜の中には、メロディーがあり、伴奏があり、強弱があり、テンポがあります。一通り弾けるようになったら、楽譜をしっかり見てイメージをしていきます。
ただの平な楽譜ですが、私から見ると3D映画や、仕掛け絵本(子供の絵本で飛び出るもの)のように立体的に感じます。
例えば、カデンツが出てくると、星のキラメキを感じる。移調をした時にスポットライトの色が変わったような気がします。急に単調が出てくると心の闇を感じ、次は、どうなるのだろうとワクワクします。
例えば、長い16分音符の中に隠れているメロディーを見つけると、隠れたメッセージを見つけたような気分になります。また、その隠れたメロディーが次のメロディーのキーワードになっている。
…この様に楽譜をしっかり見て、少しずつ作曲者が何を言いたかったのか、この曲で作曲者がどんな遊びをしているのかというところを見つけてあげてください。
この作業は、ピアノの弾けない時間にします。そうすると、「早くピアノ弾きたい!!ここを工夫してみたい。」と思いますよ。
3.ピアノの上達をするにはどうしたら良いの?
ピアノのコンサートを見に行くと、ピアニストがドレスを着てスポットライトを浴び、素敵に演奏をするのは、憧れの眼差しで見てしまいますよね。
でも、華やかに見えるピアニストも、練習をコツコツして、一人で奮闘して、部分練習やリズム練習を繰り返し、繰り返ししてやっと人前でお聞かせするようになるのです。
ピアニスト仲間で「コンサートって華やかだし、ピアニストというと華やかでいいね、と言われるけど、毎日の練習はそれこそ地味で一人で戦っている感じよね」と話したことがあります。
時間をかけるとその分上達します。毎日時間は短くてもいいので、一通り流して弾くのではなく、「今日はこの1小説をこだわってみよう」と、じっくりと時間をかけて熟成してあげてください。
急ぐことはないです。1曲をこだわることで、技術や表現で得ることはたくさんあり、その経験が次の曲の時にヒントになり、生かせていけます。一通り弾けたからと次の曲に行くのでは無く、こだわりを持って仕上げていくことが上達への早道になります。
4.ゆっくりの練習が大切
丁寧に一通り弾けた後でもゆっくり弾いて、音と音のつながりや和音の音色を確認しましょう。早く弾くことばかりをしていると、音の粒の揃いが悪くなってしまったり、和音の切り方が雑になったりします。
ある程度弾いた曲でも、一度ゆっくり弾きながら無駄な動きをしていないか確認など、休符の部分の動きなどをチェックしてみてください。急いで弾いて音が雑にならないようにしてくださいね。
まとめ
本日は、上達する上で大切なお話をしました。楽譜をしっかり見ることで曲の出来上がりイメージを持つことができます。一つ一つの音を丁寧に確かめながら弾くことで、音色を揃えていくようにしてください。
また、急いで弾くだけではなく、ゆっくりと弾く練習をすることで、フレーズの流れを確認し音色の粒を揃えていくことができます。
日本では、住宅環境から夜遅くにピアノを弾けない人が多いのですが、弾けない時間も楽譜を見ながら、イメージトレーニングをします。
楽譜をただ眺めるのではなく、強弱記号を見ながら
「ここからピアノになるのは、何を言いたいのだろう」
「ここからフォルテだから、前の弾き方をどのようにつないでいこう」
と、前後のつながりにまで気を向けることで、メロディーに関係性が見えてきて曲のまとまりが出てきます。