ピアノ演奏の表現力は、ピアノの美しさを決め、あなたらしい曲に仕上げたり、その時の気持ちを反映させたりできます。
また、ピアノの演奏で表現することは、ピアノを弾く喜びにもなります。ただ楽譜通りに弾けても、感情を乗せないで弾いてしまうと、ピアノの自動演奏のようになってしまいます。
そこに気持ちが入っていて、呼吸があるから音楽に命が宿り、生きた音楽になります。
では、表現を向上させるには、どうしたらいいでしょうか?
この記事では、ピアノ演奏の表現力を向上させる方法をご紹介していきます。
1.先のことを考える
まず、譜読みをしっかりして、弾くときに楽譜を読むのに必死にならないようにしましょう。
楽譜は、弾いている時に流してみる程度です。少し上達してくると、頭の中で考えていることは、「次の音をどんな音量で弾こうか」「次の音、少し軽くしてみたらどうなるかな」「もうすぐ来る和音をどう弾いたら引立つかな」などです。
ここで何かお気づきいただけたでしょうか?頭の中で考えていることは、次のアクションをどうするかということばかりです。現在弾いている音を考えているのではなく、次の音、次のフレーズをどうまとめていくかを考えています。
ここに、上級と初級の違いがあるのです。必死に楽譜を追いながら弾く人は、「この音なんだろう?」「ここシャープがついている」など、弾いている音と考えていることが同時進行です。
同時進行では、すでに遅いです。音は、出してしまうと出した音からきれいに変えていくことはできないからです。音を出すときの鍵盤へのタッチが表現そのものにつながり、音が出てしまってからは、やわらかく修正したり、フォルテにしたりできません。
一番だめなのは、「音、フォルテだったのか」と後ろのことを考えることです。先、その先を考えることで、ピアノを弾くときの表現を獲得できる第一歩です。
2.表現は大胆に
初めて音楽を表現するときは、失敗を恐れないようにしましょう。ピアノをまじめに弾いていると、「ここは、pp(ピアニッシモ)と楽譜に書いてるから小さくしないと」と真面目にppで弾こうとすると、音がスカスカになってしまってきれいに響かないときがあります。
音がきれいに響くことは、第一条件です。ピアニッシモで弾くところを工夫して弾く、前の音との音量を調整することで、あたかもピアニッシモで弾いてるかのように聞こえさせることが技術です。
また、ピアノを一生懸命弾いている人は、性格がシャイで真面目な人が多いような気がします。ピアノを前にするとひたむきに弾くがゆえに、大胆さを失って、真面目に一生懸命弾いてしまうのです。
この気持ちはとても大切で、ずっとこの気持ちは忘れてはいけないのですが、そんな生徒さんにはいつも「一生懸命で、ピアノの音もひたむきで好きだけど、言葉が悪いけどもう少し不真面目になってみてはいかがですか?」と言うことがあります。
不真面目というと言葉が悪いですが、遊び心を持って、「こうしてみたらどうなるかな?」「こうしてみたらおもしろいかな?」など、真面目の先になる扉を開いてみると面白いかもしれませんよ。
一度開くとそこには、さらにカラフルで、驚くような表現の正解が待っています。少し勇気を持ってその扉を開いてみてください。
3.ピアノは身体全体で弾こう
ピアノを弾くとき、ピアノを手だけで弾く人がいます。手だけで弾いてしまうと、音量に制限が出てしまうので、フォルテやフォルティッシモが、中途半端になってしまいます。
また、身体全体を使うと、音が柔らかくなります。例えば、上手に腕や上半身を使うと、自然と指先までなめらかになり、音が柔らかくなってきます。また、上半身を上手に使い体重を乗せれるようになると、和音がしっかりつかめるようになり、音の深みが増します。
少しずつ、ピアノを弾きながら、上半身の体重を使えるように訓練していきましょう。また、腕や手首を柔軟に動かせるように練習するよう心がけてください。
まとめ
表現を上手にするには、少しいつもと違うことをしてみようという大胆さが必要です。また、表現をするときは、楽譜がきっちり読めていないとできませんので、譜読みをしっかりしておかないといけません。
表現力を身につけることでさらにピアノを身近に感じ、演奏に楽しみを感じれるようになるでしょう。