よく「細いのによくオペラの声が出るね」と言われます。なぜか日本では「オペラ歌手は太い。太いから大きな声がでる」と思われています。
このイメージのおかげで、異性の紹介をしてもらうとき「オペラをやっているお友達って聞いていたからどんな太い人が来るのかと思っていたら、細くてびっくりした」と言われることがよくあります。未だに一般的にそのようなイメージがあることにびっくりします。
確かにあまりにもガリガリもいけないかもしれませんが、あまりに太くて腹筋などが動かしにくい方も、歌うときに障害になってきます。それなりの健康体で、腹筋などがしっかりある人でないと声楽はできないかもしれません。
オペラ歌手の裏話や、みんなが感じている素朴な疑問に今回はお答えします。
腹筋はしたほうがいいの?
確かに腹筋を鍛えるためにトレーニングをする人もいるのも事実です。しかし、呼吸法をしっかりお腹を使ってすること、歌うときにしっかり腹筋を使うだけで、わざわざトレーニングをしなくてもしっかりと鍛えることができます。
一時期、「ロングブレスダイエット」が流行しましたが、腹式呼吸で歌うことは、まさにダイエットにもなり歌いながらお腹を引き締めることができます。
どうしてあんなに大きな声が出るの?
歌っている時、特に大きな声で歌っているわけではないのです。普段話す時の音量と同じくらいです。しかし、普段話をするときと、オペラを歌うときでは、体の使い方が違うのです。
どこが違うかというと、まず呼吸の仕方が腹式にすること。その次に違うのが口の中を広げ、口と鼻腔のあたりを高くあげるようなイメージです。主にこの部分を変えているだけで普段通りの音量を身体という響板を響かせているので大きくなるようなイメージです。オペラ歌手は、口が楽器で、体全体が響板です。
このことから「健康体でいけない」とさっきお話ししたのも納得いくでしょう。
座っても歌えるの?
座っても歌えますが、立って歌う時の声を10としたら、座ると6くらいに落ちてしまいます。座るとお腹の中に感じる支えが、緩んでしまうイメージを感じます。
しかし合唱の練習などでは座ってすることも多くあります。出来るだけ浅く座るようにして、お尻から根っこが生えないようにしてください。発声をするときは、足やお尻の筋肉がとても大切です。座ることで緩まないようにしましょう。
身体が楽器っていうけど、風邪に気をつけるのですか?
もちろん風邪や咳は、オペラ歌手にとっては天敵です。扁桃腺が腫れた時は、歌えなくなります。しかし、コンサートは冬に多く、特に音楽大学の学生は、入試も卒業試験もテストはすべて冬の寒い時期にあります。一応風邪引きのために医師の診断書を持っていけば2週間後に再テストもあるのですが、風邪をひいて延期させたためにマイナス点があると聞いたことがあります。
体調管理は、楽器演奏者でいうメンテナンスです。バイオリニストが、「バイオリンの弦を切れたまま買い忘れていたので弾けません」なんて理由は通用しません。オペラ歌手にとって風邪をひかないケアをするのはそのくらいの認識でしています。
では、気をつけるのは風邪だけでしょうか?まだまだあります。一見関係がないようで手の骨折なども、歌えなくなってしまいます。腕を骨折するとギブスをして肩から包帯で吊り下げて固定をします。すると骨折した方の肩や首の筋肉が自由に動かせ無くなるので固まります。すると声帯も半分硬くなります。その為歌えなくなります。
まとめ
いかがでしたか?生徒さんたちによくされる質問を少し載せてみました。また機会があればよくされる質問をあげて正直にお答えいたしますね。この記事を見てオペラ歌手の事や歌をする時のヒントになることを願っています。