演技や歌のトレーニングをするとなると、必ず耳にするのが腹式呼吸。トレーニング未経験者はまずこれをマスターするところから始まることが多いはずです。
しかし、この腹式呼吸をきちんとマスターしてから次のステップに進まずに、曖昧なまま他のトレーニングに取り組んで中々成果が出ないという人も結構いるのではないでしょうか。
腹式呼吸は基礎中の基礎ですので、のちのち「こんなことも出来ないの?」と言われないように、しっかりマスターしておきましょう。
1.腹式呼吸の「腹」とは「丹田(たんでん)」のこと
腹式呼吸とは名前の通りお腹を使って呼吸をすることなのですが、腹式呼吸の「腹」とは具体的に言うと、お腹のどの辺りを指しているのでしょうか。
それはお腹の内側の「丹田(たんでん)」というおへその下の辺りのことで、いわゆる「下っ腹」と言われている部分です。
とはいえ、お腹の内側にあるので、ただ場所を聞いただけでは中々「これが丹田か」と実感するのは難しいかもしれません。そこで、まずは丹田の位置がココだと実感するための方法をご紹介しましょう。
2.丹田の位置を知る
丹田の位置を知るのに最適なトレーニングが「ドッグブレス」です。「ドッグ=犬」「ブレス=息」ということで、暑い日や走ったあとに犬が「ハッハッ」と息をしているときのマネをします。
舌を出して、連続して「ハッハッ」と息をするだけなのでとても簡単です。息を吐くときは思いっきり「ハッ」と吐き、一回息を吐いたらその反動で息はきちんと吸いましょう。
つまり「吐く→吸う→吐く→吸う」を素早く連続で行います。それを100回くらいやると、お腹の内側が痛くなってくると思います。そこが丹田だと思ってください。
ちなみにドッグブレスに似たトレーニングとして「ろうそくの火消し」もあります。顔の前に人差し指を立てて、それをろうそくだと思って思いっきり「フッ!」と息を吹きかけます。それをドッグブレスと同様に、吐く・吸うを素早く連続で行います。
どちらも試してみて、お好きな方を取り入れてみてください。これらのトレーニングはインナーマッスルが鍛えられ、姿勢の改善やダイエットにも効果がありますので、是非普段から行うことをおすすめします。
3.腹式呼吸の「吸う」やり方
さて、丹田の位置はこれで分かったとして、今度は実際に腹式呼吸にチャレンジしてみましょう。
声を使うときには息を吐きますが、息を吐くにはきちんと息を吸っておかなければなりません。息を吸うと「胸」や「腹」が膨らむと思いますが、胸はあばらに囲まれていて、がんばって胸に息をためようと思ってもあまり膨らまないので、たくさんの息をためることができません。
しかも胸で息を吸おうと思うと、肩が上がってしまい、首の周りに力が入って良い声を出すことが出来なくなってしまいます。従って、息を吸うときは胸ではなく、全ての息をお腹の中にためるようにしてみましょう。
胸が膨らみそうになってしまう人は、胸を手で軽く押さえて息を下に下に押し込めるようにイメージして、あばらより下のお腹が息でパンパンになるように息を吸う練習をしてみてください。
とにかく「胸で息を吸わない」「肩を上げない」「下に下に沈むイメージ」を意識しましょう。
4.腹式呼吸の「吐く」やり方
お腹に息をためられるようになったら、今度はその息をなるべく大事に使うための「吐く」方法を練習しましょう。
ここで重要になるのが、先述の「丹田」です。息を吐くときに丹田に力を入れることで、息を少しずつ長く吐くことができるので、効率的に息を使うことが可能になります。
では、息をお腹にしっかりためたら、丹田に力を入れて、歯と歯の間から少しずつ息を「スーー」と吐いて、そのまま息が続かなくなるまで「スーー」と伸ばしてみましょう。
イメージとしては、マヨネーズの容器のように、底は広くて中身がたっぷり詰まっているけど、出口は小さな穴なのでなかなか中身を出しきれない、といった感じです。
息を吐ききったら、その反動で再びお腹に息を一気にためて、また時間をかけて息を吐きましょう。息を吸うときと同じで、肩は上げずに、胸も締めないようにしましょう。
まとめ
腹式呼吸は基礎中の基礎ということで、これをマスターしたからといって終わりではありません。
腹式呼吸のやり方を身に付けておいて、しゃべるときや歌うときにいかに応用するかが重要になってきます。
ですから無意識にできるようになるまで、普段から何度も練習することを心掛けましょう。