吹奏楽には名曲として知られている曲が色々ありますが、その中の1つにイギリスの作曲家ホルストが作曲した組曲「惑星」があります。
組曲「惑星」はホルストが1914年から1916年にかけて作曲した管弦楽作品で、「海王星」「火星」「金星」「木星」「土星」「天王星」という7つの楽章で構成されています。
ホルストが作曲した作品で最も有名なのは組曲「惑星」ですが、その他にも合唱曲などを数多く残しています。
組曲「惑星」の中でも、良く知られている曲は「木星」です。
シンガーソングライターの平原綾香が2003年に「Jupiter」として発表したことで、広く知られるようになりました。
「Jupiter」はホルストの原曲に日本語の歌詞をのせた作品で、平原綾香最大のヒット曲となりました。
宇宙を感じさせる壮大な旋律と力強く美しい彼女の歌声が多くの人を魅了しています。
「Jupiter」はテレビドラマの挿入歌としても使用され、CDの売り上げが100万枚以上という驚異的な数字を記録しています。
組曲「惑星」の中でも「海王星」以外の曲は、ピアノ及びオルガン作品として作曲されたと言われています。
1914年に「火星」「金星」「木星」が作曲され、1915年に「土星」「天王星」「海王星」が作曲されました。
そして1916年に「彗星」が作曲されています。
全ての曲が完成後、今度は声楽やオルガンを含む管弦楽のためにオーケストレーションされています。
「海王星」は神秘主義者を表しており、静かな曲調が特徴です。
「火星」は戦争をもたらす者を表しており、第一次世界大戦頃の空気が反映されています。
「木星」は快楽をもたらす者を表しており、3部形式で構成されています。
「金星」は平和をもたらす者を表しており、中間部にはヴァイオリンやチェロのソロパートなどもあります。
「土星」は老いをもたらす者を表しており、組曲中の中で一番長い曲です。
「天王星」は魔術師を表しています。
デュカスが作曲した管弦楽曲「魔法使いの弟子」に影響を受けて作曲した作品とされています。
組曲「惑星」はイギリスの管弦楽曲を代表する作品とされており、「木星」はイングランド国教会の聖歌にもなっています。
またイギリスの愛国歌としても知られており、結婚式や葬儀の際などにも演奏されています。
イギリスでは知らない人がいないほど有名な曲といえます。
ホルストは占星術とローマ神話にインスピレーションを受けて、この作品を作曲しました。
そのため7つの楽章にはそれぞれ、ローマ神話に登場する神々の名前に相当する惑星の名を付けています。
組曲「惑星」は、近代管弦楽曲の中では人気の高い作品です。
しかし、発表された当時の評価はそれほど高いものではありませんでした。
初演は1920年にバーミンガムで行われています。初演自体は成功を収めましたが、ホルストの人気の低下と共に忘れられていきました。
当時は不協和音が鳴り響くような暗めの楽曲が流行しており、組曲「惑星」の知名度も下がっていきました。
組曲「惑星」が再び脚光を浴びるきっかけになったのは、1961年に行われたウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏会です。
この演奏会では天才指揮者カラヤンがタクトを振り、組曲「惑星」を紹介しました。
カラヤンはクラシック音楽界の中では最も有名な人物の一人で、クラシック音楽界に多大な影響を与えています。
すると、組曲「惑星」は聴衆の心をつかみ、オーケストラ曲としてレコーディングされたこともあり一躍有名になりました。
現在でも吹奏楽の名曲として知られていますが、特殊楽器が多く使われているため、全曲を全て演奏する機会はあまり多くありません。