吹奏楽と聞くと、どのようなことを連想するでしょうか。小学校、中学校、はたまた楽団でしょうか。
吹奏楽とはそもそも、軍隊の士気を高めるために用いられたものです。
管楽器を主体に、木管、金管楽器に、打楽器などを加えた編成で演奏される音楽を言います。
歴史を辿ると古代エジプトにまでそれは遡ります。
ラッパや太鼓を演奏しながら行進する様を描いた壁画を、教科書や資料で一度でも見たことがあると思います。
古代ローマ時代には更に編成が増えていき、中世にはクラリネットやピッコロが編成されるようになりました。
1810年代にまでなると国によって使用する楽器は異なるものの、現在とほぼ変わらない規模となりました。
アメリカでは新しい文化を作り上げる一環として、音楽が積極的に取り上げられました。
教育教材として素晴らしいこの音楽の文化は、瞬く間にアメリカの市民に広まりました。
1929年、エドウィンフランコゴールドマンによって、指導者協会が設立され、世界の音楽文化の発展と交流が始まったのです。
吹奏楽で一般的な曲といいますと、ショパンの軍隊行進曲や、ウィリアムシューマンのニューイングランド三部作、ナイジェルクラークのガガーリンなどが有名です。
19世紀に入るとベートーベンが行進曲を作曲し、メンデルスゾーンは葬送行進曲を作曲しました。
しかし日本も負けてはいません。
なんとその歴史は1869年にまで遡ります。
薩摩藩の藩士がイギリス人のジョンウィリアムフェんトンの指導の元、薩摩バンドを結成しました。
しかしその音が鳴り響いたのは、ペリーが浦賀にきた折りとなってしまいました。
それまで日本の楽譜といえば琴や笛のもので、数字表記が基本でしたから、♯やフォルテッシモなどの音楽知識を教えるのに、大変な苦労を要しました。
ようやく日本にも西洋音楽が根付いてきたのは大正の頃。
学校や百貨店、遊園地に取り入れられ、特に百貨店と遊園地などに少年音楽隊が組織され、民間の音楽団体も組織されるようになったのです。
昭和に入った頃にはコンクールも開催され、演奏会も頻繁に行われるようになっていきました。
ところが、そんな日本を、第二次世界大戦が襲います。
せっかく根付いた音楽ですが、戦争の戦意向上に利用されることとなってしまったのです。
終戦後、演奏する機会すら失ってしまった日本でしたが、教育においての音楽の効果が見直され、再びその文化は息を吹き返したのでした。
吹奏楽団の編成は世界各国で違っており、フランスとイタリアでは木管楽器の音色が重視されていますから、フルートやピッコロ、ホルン、ファゴットなどを中心に編成しています。
オーストリアやドイツは金管楽器の重量のある音色が重視されているので、テノールホルンやフリューゲルホルンを中心に編成がされています。
イギリスではバグパイプを主体にした編成がなされており、ブリティッシュスタイルバンドと呼ばれる独自のジャンルを確立するに至りました。
ブリティッシュスタイルバンドとは、主にサクソルン属の金管楽器を中心とした編成のことを言います。
オランダとベルギーではファンファーレバンドと呼ばれる編成がされており、フリューゲルホルンがメイン楽器です。
ドイツも負けてはいません。
ポザウネンコアと呼ばれる編成があり、ドイツ語をそのまま読むとトロンボーンの合唱隊ですが、実際は礼拝の折に賛美歌を演奏する聖歌隊なのです。
高音に当てたトランペットと低音のトロンボーンを中心とした聖歌隊が奏でるクリスマスの讃美歌に誰もが酔いしれることでしょう。
日本にも吹奏楽の編成は存在します。
木管楽器と金管楽器、打楽器を中心とした軍楽隊や、消防本部や消防団によって編成される消防音楽隊、警視庁をはじめ、各都道府県に配備されている警察音楽隊などが挙げられます。
また警察音楽隊は皇宮警察や海上保安庁にも配備されています。
そしてやはり外せないのが学校における吹奏楽部ではないでしょうか。
コンクールや文化祭、はては運動会や運動部の応援における演奏と欠かせない存在となっています。
一般の人々が所属する市民バンドも存在します。サークル活動の一環として演奏会を催したり、コンクールに参加したりしており、市町村から支援を受けて活動する楽団も少なくありません。
2004年に公開されたスウィングガールズという映画を覚えている人はかなり多いのではないでしょうか。
東北の田舎の女子高校生がバンドを組み、そしてコンクールで優勝するという青春物語です。
CMでもおなじみのキャッチフレーズ、ジャズやるべ!はかなり強く印章に残っているのではないでしょうか。
まとめ
このように、さまざまな種類、事柄、文化として根付く音楽。それは人種も国境も容易く越えていきお互いを結びつける不思議な魔法でもあります。
クラシック音楽と聞くと眠くなるとか嫌煙してしまいがちですが、普段聞いているCMのテーマソングとなんら変わりは無いのです。
食わず嫌いをせずに一度ゆったりと時間をとって聞いてみてください。
きっと満足のいく一曲がみつかるはずです。