ディズニーの音楽は吹奏楽でもよく演奏されていて人気を博しています。
これは日本だけではなく世界中でそうなっていると考えていいでしょう。
そうなる理由として考えられるのは、ディズニーは既に頭の中に良いイメージとして入っているという事があります。
そして、その良いイメージを思い出させることになるのが、この吹奏楽による音楽だという事になるわけです。
人は記憶をする時に、その時の事を全てまるまる記憶するというのではなく、断片的な記憶をしておいて、それらをリンクさせておくという事をしているようです。
そして、思い出すというような時にはこのリンクをたどって様々な記憶を思い出すという事をするので、その作業自体も楽しめるという事になるわけです。
子供の頃の記憶というのは人にとっては大切な思い出という事になっていますし、その記憶は断片的なモノであっても、ほとんどの人が良いイメージで保存しているという事が言えるでしょう。
それらは普段はあまり思い出すことはありません。
ディズニーキャラクターが思い出させるというような事は日常生活ではほとんどありませんから、なかなか記憶の隅にあるものを呼び出すことは無いのです。
ですが、吹奏楽のような形で、この思い出が引き出されるということになれば、音の美しさとあいまって、懐かしさも感じる事が出来るので、音の魅力にプラスしてノスタルジックに浸るという更なる楽しさを感じる事が出来るという事が、この演奏にはプラスされていくという事になります。
そうなれば、人気にならないわけは無いわけで、ある意味では最も人気を獲得しやすい音楽という事も言えるのかもしれません。
吹奏楽の問題点というか、課題というものの中に、世間にその音楽が認知されていないという事があります。
初めて聞く曲ということになると、どんなに素晴らしいものであったとしても、良いのかどうかという事をなかなか客観的に判断することが出来る材料を普通の人は持っていません。
ですから、初めての曲に対しては、拒絶とはいかないまでも、どう判断すればいいのかわからないというように感じる事が多いと言えるでしょう。
そのため、極めて優れた考えつくされた音楽であっても、なかなか受け入れるという事は難しいところがあるのです。
ですが、既に多くの人が知っていて受け止めている曲で、自分も過去にいっぱい聞いた事があるということになれば、それは安心して過去の記憶と重ねながら聞くという事が出来るようになるので、面白いし、興味を持って聞くことが出来るわけです。
考えている事は、人によって全く違うという事にはなるのでしょうが、それぞれが楽しい思考に浸っているという事が出来るのがこのディズニーの曲の演奏中には起きていると考えていいでしょう。
恐らくは演奏者が思いもしないような事を視聴者は思考しているのですが、それで楽しんでもらう事が出来るのであれば、演奏をする側としてもいう事はありません。
音楽を聴く側がどのように楽しむのかという事は、聴衆の自由ですから、そこまで演奏者が関与することは無いわけです。
吹奏楽でなかなか観客を楽しませることが出来ないというケースでは、誰も知らない曲を演奏しているという事がよくあります。
これは知っている人からすれば、極めて素晴らしい曲で、この曲の良さを理解して欲しいという目論見があるのですが、聴衆側からすればそのような事は求めていない事も多いので、なかなか人の理解が得られないという事があるわけです。
特に吹奏楽ということになれば、歴史などもあるので、なかなか俗世的な曲をすることに、演奏者の抵抗がある事もあるのですが、ディズニーの曲に関してはそうした抵抗も少ないと考えて良いかもしれません。