「ピアノの詩人」と呼ばれるショパンの本名は、フレデリック・フランソワ・ショパン。ポーランド生まれの、ロマン派時代を代表する 作曲家です。
39年の短い生涯のほとんどをピアノ曲の作曲に捧げたことで知られています。
彼の作曲した作品のほとんどがピアノ曲だということを考えると、彼がどれほどこの楽器を愛し、こだわりを持ち、多くの曲を残してきたのか、ということがわかると思います。
事実、これほど沢山の曲を残した作曲家はショパンしかいないのですから。
ポーランドの作曲家であるショパンは、映画やテレビなどで誰もが聴いたことのある曲から、ほとんど知られていないマニアックな曲まで多くの曲を残していますが、いずれも素晴らしい曲ばかりです。
そんな彼を形容する言葉として「ピアノの詩人」という言葉があるわけです。
この時代は楽器も進化して、多く作曲家によって演奏法が研究されていた時代でしたが、彼自身も独自の奏法を研究し続けており、彼にしかできない独特の演奏法から生み出された素晴らしい曲の数々は、いずれもその曲と楽器の魅力が最大限に生かされています。
彼の作品は、一流の演奏家によって演奏されることにより、楽器そのものが自在に歌っているかのように聴こえると言われています。
では、ショパンの曲の難易度は、技術的にどれほどのレベルなのでしょうか?
曲の難易度というものは、人によって違いますから、明確な基準を示すのは難しいのですが、クラシック全体で言えば、ショパンの曲は確かに相当難易度が高いものではあります。
しかし、最も難しい、とも言いきれず、 一般的には、リストなど、ロシア系の作曲家の作品の方が難易度が高いと言われています。
とはいえ、シロウトにはやはり高嶺の花なのが現実です。
私もピアノを長年習う中で、いつかは!と目標を掲げて頑張ってきましたが、特にあこがれの強かった「バラード1番」、そして誰もが一度は弾きたいと思うであろう有名な「革命のエチュード」や「別れの曲」、「幻想即興曲」などの楽譜を初めて見た時の衝撃は忘れられません。
何しろ複雑で黒鍵だらけなので、「真っ黒」なのです。
どうやって指を動かしたらこれが弾きこなせるのか??
事実、初めて弾けるようになるまでの道のりは長く険しいものでした。
初めての発表会で弾いたのは、今も忘れられない「子犬のワルツ」でした。
それなりに頑張って練習はしたものの、それはそれは恥ずかしい出来で、今も悪夢にうなされるほどです。
あまりにも悲惨だったので、しばらく発表会で彼の曲を封印していた時期がありました。
しかし、彼のピアノに対する独自の考え方が私は好きでした。
それは、単に指の鍛錬のみを目的とした「ハノン」には否定的だったということです。
そして、彼の名言のひとつに、
「ハ長調による音階練習をはじめるのは意味がない。ばかげた事だ。ハ長調は譜読みこそ一番やさしいが、まったく支点が無いので手を動かすには最も難しい調なのである。」
という言葉があります。
これは「ハノン」への否定に加えて、白鍵中心の練習曲である「ツエルニー」をも否定した言葉ですが、
私はこの、「ハノン」と「ツェルニー」の練習がとても苦痛だったので、この話を聞いて救われたものでした。
勿論だからと言って私の師は、どちらもやめることを許してくれず、最後まで苦しめられたのでしたが・・・
とはいえ、中には初級者でも弾けるようなものもあります。
発表会などで演奏されることの多い、人気の高い曲は、「ノクターン」と「ワルツ」だと思います。
発表会や各地のコンクール等では、これらが最も多く演奏されています。
そして、「プレリュード」や「エチュード」も、高い人気を誇っています。