クラシック音楽においてはカノンというのは、音楽を少しだけずらして同じメロディーを演奏するという事をすることです。
ここで格調高い調和や響きを堪能するというのがこのカノンの魅力という事になるのかもしれない。
クラシック音楽においては、かなり洗練された方法というように言って良いかもしれません。
有名な人気曲ということになると、パッヘルベルのカノンが有名かもしれません。
これはYouTubeなどでも良く流れているので耳にすることも多い曲といってもいいでしょう。
様々なところで使用されていてBGMなどでも使われているので、親しみがあるという人も少なくは無いはずです。
当然それだけ使われるには、理由があってこの少しずれたことによる調和の響きが耳に心地よいという事があるからです。
人は音を記憶するという事も当然しているのですが、その音が何度も重なり合う事でよりその響きが強調されるという事もあるのかもしれません。
同じような音楽が何度も出てくる事になるわけですが、それが美しく聞こえるのは、様々な音が重なり合った調和のとれた音として耳に心地よく入ってくるからと考えていいでしょう。
これは実は極めて高等な技術という事もいえるはずです。
その証拠に少しだけずらした音楽で、これを気持ちよく聞かせるという事はそう簡単には出来るものではありません。
輪唱されているので何度も耳にすることになりますが、それに飽きることもなく、ずっと聞いていたいと感じさせるものに仕上げるという事はとんでもない技術という事になります。
大抵の場合は三回も耳にすればもう飽きたということになりますが、そうならないところが、この曲の名曲たる理由の一つと考えても良いはずです。
この手法はクラシック音楽でもいろいろと取り入れられる事になっていますが、他の分野の音楽でも用いられてもいます。
有名なところでは、ビートルズのレット・イット・ビーなどもこの手法が用いられているという事があるようです。
ひょっとしたら、このカノンの手法を意識して作ったかもしれないというように考えると面白いところがあるかもしれません。
パッヘルベルのカノンにおいては、3つのヴァイオリンが輪唱するという事をしているのですが、これが二小節ずれて演奏されるというようになっているのが特徴的です。
そして和音がきっちりと重なるように計算されているというのが、この曲の凄い所ということになります。
偶然にそうなったというのではなく、意図的にしているわけですから、これが凄いのは、この事を頭の中で考えて作っているという事になるのかもしれません。
人はメロディーを覚えるという事をしますから、覚えたメロディーが何度も繰り返されているという事はすぐに分ります。
これで、まずは慣れさせるという事をしておいて、そして和音の美しさで魅了してしまうというところです。
多くの曲はある程度の繰り返しをすると、その後の転調などで驚きを演出するという事をして聞き手の意表をつくことで興味をそそるという事を考えるはずですが、このパッヘルベルのカノンに関しては徹頭徹尾同じ旋律で動いていくということが一つの特徴になっている。
それでいて最後にぴったりと合わせて終わるという、終わりの演出も完璧に出来ていますから、如何にこの曲が良く考えられているのかという事が分かります。
だからこそ、様々なところで使用されていても、全く違和感を感じる事無く心地よく聞いていられるという事にもなるのです。
いい曲は誰が聞いても良い曲で、心地よい音色というのは、万国共通で認識されるモノだという事が、この曲を聴いていると理解出来るという事にもなるのかもしれません。