ボイストレーニングを1人で行うのは難しいです。
なぜなら、歌っている間は歌うことに夢中になってしまい、自分の声を聞くことができません。歌っている時の身体の使い方や、息の吸い方などの普段の習慣(クセ)は、直すことが難しいのです。
また、自分が聞いている声と、相手(観客)が聞いている声には相違があります。なぜなら、自分の声は外に響いている音に加え、身体が響いている骨伝導の声を聞いています。
しかし、周りの人は骨伝導の声はもちろん聞こえず、空気伝導された声だけを聞いています。その事もしっかり意識しながらボイストレーニングをしなくてはいけません。
では、どのようにボイストレーニングを行えば良いか、数通りの方法をお伝えしていきます。
1.視界を広げる
身体の使い方が、声に大きく影響を与える事は、今までもお伝えしてきました。それに加えて、しっかり目を開けて視界を広げると、声も広がっていきます。
近くを見て歌うのではなく、遠くを見て歌います。たくさんの人がいる事を意識し、後ろの列の人まで声が聞こえるようなイメージを持ってボイストレーニングをします。
不思議と視界を広げて遠くを意識するだけで、声も遠くまで飛んで行きやすくなります。
2.口の中を広げる方法
割り箸を口で加えながらボイストレーニングをします。口を「い」の形にして歯を閉めて、割り箸を少し噛み締めます。その時に、口の中の軟口蓋が、上がっているのを感じるように意識してください。
割り箸の端を加えたまま、ボイストレーニングを始めます。口が閉まっているので、大きな声は出ませんが、軟口蓋を上げる事を意識するために役立ちます。力を入れすぎて噛んでいると、疲れるので気をつけてください。
3.舌の力を抜く
たまに歌っている時に舌の力が入ってしまい、口の中で邪魔をすることがあります。そのように感じた時は、口を開けて舌をできるだけ外に出し、そのままボイストレーニングを始めます。
舌を外に出すと結構な疲れを感じますので、長時間はしません。ボイストレーニングの中で5分ほど、舌の力を抜くトレーニングとして取り入れます。
4.ハミングをする
口を開けてハミングをする事で、鼻腔の響きを確認することができます。鼻腔の響きは、裏声(ファルセット)のトレーニングをする時にとても重要になってきます。
口を開けてハミングをすると、舌の付け根あたりに力が入ることがあるので、先ほどの舌の力を抜くトレーニングを間に挟むと効果的です。
5.唇の力を抜く練習
上唇、下唇を口から吐く息で振動させることはできますか?
「プ、プ、プーーー」と唇を震わせるようにします。それができたら音程をつけていきます。「ドレミレド」「レミファミレ」・・・と口を震わせたまま歌います。
このトレーニングの狙いは、唇の力を抜く事と、音程に影響されずに息の量を均一にすることです。息の量が強すぎたり、弱くなると唇の振動ができなくなるので気をつけてください。
6.舌を巻きながら歌う
「ラリルレロ」の時に舌を巻く事はできますか?この舌を巻いたままでボイストレーニングをします。
これは、舌の力を抜きながら息の量を均一にする練習になります。音程が高くなると、舌の力が入って出にくくなったりします。
舌をあえて巻くことで、音程によって舌に力が入ったりすると舌を巻くことができなくなるので、すぐにわかるようになります。
このトレーニングと、舌を出してのボイストレーニングを交互に取り入れると、さらに効果的になります。
まとめ
今回は、口の動きや、舌の力の抜き方などを重点的にお話ししました。
顔だけでもたくさんの表情筋があり、効果的な使い方を意識していくことで音程によって使い分けをしたり、声が出やすい口の形にすることができます。
話す事と歌う事は、似ているようで意外と違いがあります。ボイストレーニングは、地味な印象があり楽しくありませんが、喉を痛めないための大切なトレーニングです。
楽器は、壊れたら買い換えれますが、喉は買い換える事ができません。その事を忘れずにボイストレーニングに取り組みましょう。必ず楽に声が出るようになります。